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エフピーエムNews 第85号 2024年10月から社会保険加入対象拡大 働き方の見直しが必要になる人も

【今回のテーマ】2024年10月から社会保険加入対象拡大  ―働き方の見直しが必要になる人も―

2024年10月からの社会保険加入要件の変更により、パートで働く方に対して影響が出る可能性があります。
今回は、具体例により手取り収入への影響や将来の年金受給額について詳しく説明します。

1. 社会保険加入要件の変更:年収106万円のライン

新しいルールにより、年収106万円以上かつ週の労働時間が20時間以上の場合、社会保険(健康保険と厚生年金)の加入が義務付けられます。
この変更により、扶養内で働いていた多くの方が社会保険料を支払う必要が生じる可能性があります。

以下のような条件の方が新たに社会保険に加入することになります。

1.1週間の所定労働時間が20時間以上
2.雇用期間が継続して2ヶ月を超える見込みがある
3.賃金の月額が8万8000円以上(年収換算で106万円)
4.学生ではない
5.被保険者の総数が、企業規模で常時51人以上の特定適用事業所に勤務(または任意特定適用事業所に勤務)

社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料を支払う必要があるため、手取り収入が減少します。

2. 手取り収入への影響

社会保険に加入すると、健康保険料と厚生年金保険料を支払う必要があるため、手取り収入が減少します。
ここでは、年収130万円のパートタイムの方を例に、具体的な手取りの減少を見てみましょう。

例:40歳の女性パート社員、年収130万円の場合

月収:約10.8万円(年収130万円 ÷ 12ヶ月)
厚生年金保険料:約1.82万円(報酬月額10.8万円×18.3%÷2)
健康保険料:約5,200円(報酬月額10.8万円×9.63%÷2)

このため、毎月の社会保険料は約2.37万円となり、手取り月収は以下のように減少します。

手取り月収:10.8万円 – 2.37万円 = 約8.43万円

年収ベースで計算すると、年間で約28.5万円の社会保険料を支払うことになります。

扶養内で働いた場合との比較

扶養内(年収106万円未満)で働いた場合は社会保険料を支払う必要がありません。
例えば、年収106万円の場合、手取りはそのまま106万円となりますが、年収130万円の働き方を選ぶと、手取りは年間で約100.9万円です。扶養内で働いた場合の手取り106万円との差はそれほど大きくないため、どちらの働き方が自分にとって最適か慎重に判断する必要があります。

3. 社会保険加入のメリット:年金額の増加

次に、社会保険に加入した場合の年金額の増加について、上記の条件でシミュレーションしてみましょう。

厚生年金に10年間加入した場合
厚生年金の報酬比例部分は、標準報酬月額に基づいて計算されます。ここでは、40歳の女性が10年間、月収10.8万円で働き続けた場合を想定します。

月収:10.8万円
年間の標準報酬額:約130万円

厚生年金の報酬比例部分は、0.005481×標準報酬額で計算されますので、年金増額は次のようになります。

報酬比例部分:0.005481 × 130万円 × 10年 = 約7.1万円

つまり、厚生年金に10年間加入すると、将来受け取れる年金額は年間約7.1万円増えます。

20年間働いた場合

さらに、もし40歳から60歳までの20年間同じ条件で働き続けた場合は、報酬比例部分:0.005481 × 130万円 × 20年 = 約14.2万円となり、20年間働くことで年間約14.2万円の年金増加が見込まれます。
仮に65歳から85歳までの20年間年金を受給すると、約284万円多く年金を受け取ることができる計算になります。

4. メリットとデメリット

メリット

将来の年金受給額の増加:厚生年金に加入することで、将来的に受け取れる年金額が増えます。
年収130万円で10年間働けば、年間約7.1万円、20年間働けば年間約14.2万円の年金が増えることになります。

健康保険の手厚い保障:厚生年金の健康保険は、国民健康保険よりも保障が手厚い場合があります。
傷病手当金や出産手当金などの保障が受けられるため、万が一の場合のリスク軽減につながります。

デメリット

社会保険料の負担増:年収106万円を超えると、厚生年金や健康保険料を支払う必要があり、手取り収入が減少します。
年収130万円の例では、年間約28.5万円の社会保険料負担が発生します。

扶養から外れる可能性:配偶者の扶養から外れることで、家計全体での税負担が増える可能性があります。
扶養控除や配偶者控除が受けられなくなる点に注意が必要です。

5. 対策と働き方の見直し

収入調整の検討:年収106万円以下で扶養内で働くか、社会保険に加入し年収を増やして働くかを検討する。
手取り収入と将来の年金額の増加を天秤にかけて、自分にとってどちらが良いかを判断することが重要です。

老後資金の準備:社会保険に加入して手取りが減ったとしても、将来の年金額や保障内容を考慮し、老後資金の準備を見据えた長期的な計画を立てることが重要です。

まとめ

2024年10月の社会保険加入要件の変更は、パートで働く方にとって働き方を大きく左右する変更です。
社会保険に加入することで負担が増える一方、将来の年金や健康保険の手厚い保障を享受できる点は少なくないメリットです。
どちらが自分にとって有利か、手取り収入や将来の生活設計を考慮した上で、慎重に判断していきましょう。

不明な点はありましたら、是非、エフピーエムにご相談ください。

 

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