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エフピーエムNews 第86号 大統領選挙と米国株式市場

先日、マーケットニュースで「三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の純資産総額が5兆7696億円となり、国内公募株式投信(除くETF)で過去最大規模に。」という記事がありました。
今年1月にスタートした新しい少額投資非課税制度(NISA)による後押しもあり、一括投資に加えて、つみたて投資を中心とした投資家から支持されているとの内容でした。
純資産ランキング2位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー」いわゆる”オルカン”も国別配分比率の6割はアメリカ株ですし、純資産ランキング上位10位までのファンドにはアメリカ株が組み入れられています。
投資先として人気のアメリカですが、今年は11/5に米大統領選挙という大きなイベントが控えています。
民主党ハリス副大統領、共和党トランプ前大統領のどちらが選ばれるかによって、「国際政治・経済・金融政策」にどのような影響があるのか? 保有している米国株式はどうなるのか? 気になっている方も多いと思います。
そこで今回は大統領選挙が米国株式市場に与える影響について、面白い記事を見つけたのでご紹介したいと思います。

11月5日(火)、米国人は投票所に向かいます。
それぞれの候補者や問題について、最後の最後までロビー活動を行う人々の群衆をかき分け、列に並び、投票用紙に記入するのです。
もちろん、見出しは現副大統領のカマラ・ハリス氏と前大統領のドナルド・トランプ氏によるホワイトハウスを巡る戦いに集中しています。
そして、現在のような分断的な政治環境では、多くの人が「誰が大統領になるか」によって、自分のポートフォリオのリターンが左右されると考えているのです。
しかし、それは本当に重要なことなのでしょうか?
選挙のたびに、「もし誰々が勝てば、株式市場は暴落する!」という話が持ち上がります。
ここで、先回りして結末を言ってしまうと…
ほとんどの場合、それは真実ではありません。
しかし、私は選挙で自分の支持する政党が勝利しなかったという理由で、現金を手元に残したり、市場への投資を拒んだりする投資家を数多く見てきました。
彼らは、他の政策が投資家にとって有害であるため、すべてがすぐに崩壊すると主張します。
それは愚かな考えです。
私は投資家として長年、「市場には下落日、下落週、下落月、さらには下落年もある。しかし、市場は最終的には1つの方向のみに動く。上昇だ」
そんな考えをベースにしてきました。
そして、大統領在任中に市場がマイナス成長となった大統領はほとんどいません。
実際、1957年以来、民主党の大統領が執務室に座っているときのS&P 500の年間平均リターンは12.9%。
一方、共和党の大統領の年間平均リターンは9.9%でした。
どちらもマイナスではありません。
そして、その差異は主に、民主党の大統領が大規模な経済拡大を指揮し、株式市場の高騰につながったことによるものです。
史上最大の株式市場の成長を監督した2人の大統領は民主党員でした。
ビル・クリントン(1993年1月~2001年1月)とバラク・オバマ(2009年1月~2017年1月)です。
S&Pのリターンが最悪だった2人の大統領は共和党員であり、リチャード・ニクソン(1969年1月~1974年8月)とジョージ・W・ブッシュ(2001年1月~2009年1月)でした。
そして今、JPモルガンの分析結果によると、S&P 500の11のセクターすべてにおいて、民主党の大統領在任中のリターンの方が高かったことが明らかになっています。
そして、民主党は指数の11セクターのうち10セクターで最も好調な時期を指揮しました。
ただし、2001年のドットコムバブル崩壊と2008年の世界金融危機という例外があります。
いずれもジョージ・W・ブッシュ大統領の在任中に起こりました。
これらの悲惨な年を除外すれば、収益はより安定しています。
いずれにしても、歴史が示すように、今年誰がホワイトハウスを獲得しようとも、市場が崩壊することはないでしょう。
しかし、この話にはもうひとつ、米国および海外の投資家がしばしば忘れている部分があります。
米国では、大統領は当然ながら強力な権限を持っています。
しかし、米国ではチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)のシステムが採用されています。
大統領が気まぐれに法律を制定することはできません。それは独裁政治です。
そこで、上下両院の議会が関わってくるのです。
そして、この上下両院の議会では、今年選挙が行われることを忘れてはなりません。
実際、468議席が改選の対象となります。
上院では100議席のうち33議席が、2024年に改選となります。
そして、下院では435議席すべてが今期中に決定されます。
現在、民主党は上院で47議席を占め、共和党は49議席を占めています。
一方、無所属議員は4名です。
下院では、現在、共和党が220議席を占め、過半数を占めています。
民主党は212議席を占め、現在3議席が空席です。
さて、議会を支配することが重要となります。
大統領には選挙公約を守り、政策を推進する義務があります。
もし議会が相手政党に支配されていれば、法律の成立は困難となるのです。
では、株式市場のリターンにどのような影響があるのでしょうか?
民主党がホワイトハウスを占め、共和党が議会を支配している場合、S&Pの年間平均リターンは6.7%。
また、共和党の大統領と民主党が議会を支配している場合、S&Pの年間平均リターンは4.7%でした。
自分の政党が選挙に勝たなかった場合に傍観に徹することで、多くの投資家が取り返しのつかない損害をポートフォリオに与えています。
これは投資家が犯し得る偏見の一つです。
1950年以降、S&P 500に10万ドルを投資し、民主党の大統領の時にのみ投資を継続した場合、310万ドルになります。
共和党の大統領の時に同じことをした場合、100万ドルになります。
しかし、大統領が誰であろうと、議会をどちらの政党が支配していようと、投資を継続していた場合、1950年にS&Pに投資した10万ドルは、現在3260万ドル以上の価値になっているでしょう。
選挙の日に青が勝とうが赤が勝とうが、長期的に見ると市場は気にしません。

いかかですか?
やはり基本は長期投資だという結論ですね!
ちなみに日経平均株価(当初は東証修正平均株価とよばれていました)は1950年9月7日から算出が開始され、初日の終値は176.21円でした。
今日(2024年10月30日)の終値が39,277.39円ですので、10万円を投資していたら、おおよそ2,229万円です。

投資は長期です。

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